異なる温度条件下におけるシュルツェマダニとタネガタマダニの産卵と発育の比較研究

書誌事項

タイトル別名
  • Comparative observations on oviposition and development of two ixodid ticks, Ixodes persulcatus Schulze and I. nipponensis Kitaoka and Saito, under different temperatures
  • 異なる温度条件下におけるシュルツェマダニとタネガタマダニの産卵と発育の比較研究〔英文〕
  • コトナル オンド ジョウケンカ ニ オケル シュルツェマダニ ト タネガタマダ

この論文をさがす

説明

シュルツェマダニとタネガタマダニの産卵と発育を, 16℃から35℃までの種々の温度条件下で観察した。シュルツェマダニとタネガタマダニの産卵前期間は, ともに温度が低下するにつれて長くなったが, 両種を比較すると低温から中温(16℃から25℃)にかけてシュルツェマダニのほうがタネガタマダニより短かった。産卵に対する発育零点は, シュルツェマダニが, 2.9℃, タネガタマダニが, 5.6℃であった。タネガタマダニの卵のふ化率は16℃から32℃まで高かったが, シュルツェマダニは32℃で顕著に低かった。シュルツェマダニの卵期間は低温(16℃)でタネガタマダニより顕著に短かった。卵の発育に対する発育零点は, シュルツェマダニが2.2℃, タネガタマダニは7.4℃であった。タネガタマダニの飽血した幼虫と若虫は, 16℃から35℃までのすべての温度条件下で脱皮できたが, シュルツェマダニは35℃でまったく脱皮できなかった。シュルツェマダニの飽血した幼虫と若虫の発育期間は低温(16℃)で, タネガタマダニより顕著に短かった。シュルツェマダニの飽血した幼虫と若虫の発育に対する発育零点は, それぞれ-2.7℃, 6.0℃であった。一方, タネガタマダニのそれらは, それぞれ9.6℃, 13.5℃であった。以上の結果は, タネガタマダニよりシュルツェマダニのほうが, 冷涼な気候に適応していることを示唆するものと思われる。

収録刊行物

  • 衛生動物

    衛生動物 43 (2), 105-112, 1992

    日本衛生動物学会

被引用文献 (3)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ