ART治療における卵巣過剰刺激症候群に対するCabergolineの予防効果の検討

  • 三宅 達也
    大阪大学大学院医学系研究科器官制御外科学産科学婦人科学
  • 筒井 建紀
    地域医療機能推進機構大阪病院
  • 正木 秀武
    大阪大学大学院医学系研究科器官制御外科学産科学婦人科学
  • 藤森 由香
    大阪大学大学院医学系研究科器官制御外科学産科学婦人科学
  • 後安 聡子
    大阪大学大学院医学系研究科器官制御外科学産科学婦人科学
  • 大八木 知史
    地域医療機能推進機構大阪病院
  • 熊澤 惠一
    大阪大学大学院医学系研究科器官制御外科学産科学婦人科学
  • 木村 正
    大阪大学大学院医学系研究科器官制御外科学産科学婦人科学

書誌事項

タイトル別名
  • The effectiveness of cabergoline for preventing ovarian hyperstimulation syndrome in the ART cycle
  • 症例報告 ART治療における卵巣過剰刺激症候群に対するCabergolineの予防効果の検討
  • ショウレイ ホウコク ART チリョウ ニ オケル ランソウ カジョウ シゲキ ショウコウグン ニ タイスル Cabergoline ノ ヨボウ コウカ ノ ケントウ

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説明

卵巣過剰刺激症候群(OHSS)は,リスク因子として,PCOS,若年,ゴナドトロピンに対する過剰反応の既往,OHSSの既往などが挙げられるが,いったん発症するとその治療に苦慮する場合が多い.OHSSの主な発症要因は,調節卵巣刺激時に排卵のトリガーとして投与されるhCGにより,過剰に分泌されたvascular endothelial growth factor(VEGF)が血管透過性を亢進するためとされる.われわれはこれまで,OHSSの高リスク群に対するART治療の際,GnRHアンタゴニストプロトコールの使用・排卵のトリガーとしてのGnRHアゴニストの使用・Coasting・全胚凍結保存などを組み合わせることによってOHSS発症予防を行ってきたが,時にその効果が不十分となることがあった.近年,Cochrane reviewをはじめとして,VEGF receptor-2のチロシンリン酸化の抑制作用を有するCabergoline投与によるOHSSの予防効果についての報告が散見される.そこで今回,CabergolineによるOHSSの予防効果について後方視的に検討した.2010年1月から2013年12月までに当院で施行したART治療のうち,調節卵巣刺激時にOHSSの発症が予想された8症例を対象とした.調節卵巣刺激方法はGnRHアンタゴニスト法が4症例,GnRHアゴニストロング法が2症例,GnRHアゴニストショート法が2症例であった.採卵後に全胚凍結保存を行い,採卵翌日よりCabergoline 0.5mg 7日間および黄体ホルモンを投与した.OHSS発症例は軽症5症例のみであり,中等症以上のOHSS発症の予防が可能であった.Cabergolineは中等症以上のOHSS発症予防に有用となる可能性が示唆された.〔産婦の進歩67(3):270-275,2015(平成27年8月)〕

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