当科における子宮頸部円錐切除術施行症例の臨床的検討

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  • Clinical outcomes after cervical conization : a retrospective analysis
  • トウ カ ニ オケル シキュウ ケイブ エンスイ セツジョジュツ シコウ ショウレイ ノ リンショウテキ ケントウ

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説明

<p>子宮頸部円錐切除術は,子宮頸部上皮内腫瘍(cervical intraepithelial neoplasia;CIN)や初期の子宮頸癌に対して,診断あるいは治療を目的として行われている.近年,CINの増加と若年化に伴い,子宮頸部円錐切除術は増加している.晩婚化や未婚の増加,妊娠・出産年齢の高齢化などに伴い,妊孕性温存が必要となる症例も増加している.今回,当科における子宮頸部円錐切除術の成績,合併症について検討を行った.2007年7月から2014年12月までに当科で円錐切除術を行った352症例を対象とした.年齢の中央値は38歳(17~72歳),観察期間の中央値は32.4カ月(1~102カ月)であった.352例のうち断端陰性は291例,再発は3例(1.0%),断端陽性36例のうち再発は1例(4.7%)であった.判定困難な症例は25例であったが,再発は1例も認めなかった.切除断端評価の違いによって,再発率に差は認めなかった(p=0.38).術後合併症は,縫合処置を要した術後出血は2例(0.5%),術後頸管狭窄率は6例(1.7%)であり,過去の報告より少ない傾向にあった.しかし,流早産に関しては過去の報告より高く,妊娠経過が把握できた29例のうち,入院加療を必要とした切迫早産は13例(44.8%),流産2例(3.4%),早産7例(29.1%),pPROMは6例(20.6%)であった.流早産に至った症例のうち,子宮内胎児死亡となった2例は,胎盤病理検査でともに絨毛膜羊膜炎を指摘された.その他の早産6例のうち,5例に前期破水が生じ,前期破水を生じなかった1例にも絨毛膜羊膜炎を認めた.当院における円錐切除術の治療成績は,切除断端陽性率や再発率は他の報告と比較して低く,良好な成績であったが,術後の流早産率は高かった.妊孕性を考慮すると必要以上の切除は避けるべきであり,症例にあわせた切除範囲の選択が必要である.〔産婦の進歩70(1):11-16,2018(平成30年2月)〕</p>

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