輸血後に行った単純子宮全摘出術術後に可逆性後頭葉白質脳症(PRES)を発症した子宮筋腫の1例

書誌事項

タイトル別名
  • A case of posterior reversible encephalopathy syndrome (PRES) after blood transfusion and hysterectomy in a patient with uterine myoma
  • 症例報告 輸血後に行った単純子宮全摘出術術後に可逆性後頭葉白質脳症(PRES)を発症した子宮筋腫の1例
  • ショウレイ ホウコク ユケツ ゴ ニ イッタ タンジュン シキュウ ゼン テキシュツジュツ ジュツゴ ニ カギャクセイ コウトウ ヨウ ハクシツ ノウショウ(PRES)オ ハッショウ シタ シキュウ キンシュ ノ 1レイ

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抄録

可逆性後頭葉白質脳症は臨床的には痙攣,頭痛,意識障害,視覚障害等の症状を有し,画像上,脳後頭葉や頭頂葉に梗塞を伴わない可逆性の皮質下の浮腫が起こるのが特徴の疾患である.また高血圧性脳症,子癇,免疫抑制剤の投与,化学療法と関連して発症することが知られている.症例は53歳でHb3.8g/dlの重症貧血を合併した子宮筋腫の患者で8単位の輸血を行い,Hb8.4g/dlまで回復しいったん退院となった.輸血後50日目に子宮全摘出術および両側付属摘出術を施行した.手術当日の朝の血圧は116/70mmHgと正常であったが,術前には177/84mmHgと急速に上昇し,術中も180/96mmHgまで上昇した.術後,3時間目に全身の強直間代性痙攣と意識消失発作が発症した.その時点での頭部CTでは有意な所見は認めなかった.抗てんかん薬で経過観察したところ術後3日目の頭部MRI検査のT2FLAIR像で両側後頭葉の信号の増加が認められた.また意識も回復したためにPRESと診断した.術後9日目に皮質盲が出現した.術後37日目のMRIでは後頭葉の病変は縮小していたが,痙攣発作は続いていた.報告では輸血後や術後のPRESはほとんど女性のみで起こっている.今回の症例では周術期の大きな血圧変動によりPRESが引き起こされたと推定されたが,術前の輸血が影響していた可能性も考えられた.輸血によりPRESが発症することがあることを念頭におくことと,PRESの症状が出現したときには速やかな治療を行うことが重要であると考える.〔産婦の進歩67(3):307-313,2015(平成27年8月)〕

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