当科における卵巣上皮性境界悪性腫瘍54例の解析

  • 寺田 亜希子
    独立行政法人国立病院機構大阪医療センター産婦人科
  • 松本 久宣
    独立行政法人国立病院機構大阪医療センター産婦人科
  • 酒井 美恵
    独立行政法人国立病院機構大阪医療センター産婦人科
  • 矢口 愛弓
    独立行政法人国立病院機構大阪医療センター産婦人科
  • 赤木 佳奈
    独立行政法人国立病院機構大阪医療センター産婦人科
  • 伴 建二
    独立行政法人国立病院機構大阪医療センター産婦人科
  • 岡垣 篤彦
    独立行政法人国立病院機構大阪医療センター産婦人科
  • 巽 啓司
    独立行政法人国立病院機構大阪医療センター産婦人科

書誌事項

タイトル別名
  • Fifty-four cases of borderline ovarian epithelial tumors diagnosed in our hospital
  • トウ カ ニ オケル ランソウ ジョウヒセイ キョウカイ アクセイ シュヨウ 54レイ ノ カイセキ

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抄録

<p>卵巣上皮性境界悪性腫瘍は全上皮性卵巣腫瘍の10~15%程度を占めている.その多くがStage Iで診断され,全体の再発率は4~12.4%で10年生存率はおよそ95%と報告されているが,悪性腫瘍より若年者に好発するため,妊孕性温存を希望する場合も多い.本研究では,当院で手術を施行した卵巣上皮性境界悪性腫瘍54症例のプロファイルを解析し,妊孕性温存手術後の経過および術前検査や術中迅速病理組織検査の精度について検討した.年齢の中央値は43.5歳,23例が40歳未満で,うち18例は未産婦であった.術前PET/CTは19例で施行され,SUV maxの中央値は2.2であった.進行期はI期が52例,III期が2例で,組織型は粘液性が32例,漿液性が17例,類内膜が1例,明細胞が1例,混合上皮性が3例であった.術中迅速病理検査は46例で行われ,6例で最終病理組織診断と乖離があり,2例で再手術が行われた.妊孕性温存手術を施行した24例中観察期間に妊娠を希望したのは9人で,6人に9例の妊娠が成立した.術後追跡期間の中央値は46カ月で,腫瘍摘出術を行った粘液性境界悪性腫瘍の1例のみ術後35カ月後に患側卵巣に再発を認めて追加で付属器摘出術を施行したが,再々発なくその後生児を得た.境界悪性腫瘍の鑑別にPET/CTの有用性が示唆されているが,術前診断精度の一層の向上が望まれる.また妊孕性温存手術を選択する場合は,再発リスクを考慮したインフォームドコンセントと慎重なフォローアップが必要である.〔産婦の進歩69(2):77-84,2017(平成29年5月)〕</p>

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