帝王切開後に発症したMycoplasma hominisによる子宮筋層切開創感染症の1例

書誌事項

タイトル別名
  • Case report of bacteremia that progressed from an operation scar infection of M. hominis after Caesarean section in a 33-year-old woman
  • 症例報告 帝王切開後に発症したMycoplasma hominisによる子宮筋層切開創感染症の1例
  • ショウレイ ホウコク テイオウ セッカイ ゴ ニ ハッショウ シタ Mycoplasma hominis ニ ヨル シキュウキンソウ セッカイソウカンセンショウ ノ 1レイ

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説明

<p>M. hominisは成人女性の約50%の腟分泌物に存在する微生物である.この微生物が時に泌尿生殖器や帝王切開術後に感染症を起こすことがある.いったん,その感染が確立すると,培養検査にて遅発育であること,グラム染色では同定できないこと,またβ-ラクタム系の抗菌剤に対して耐性をもつことから,その診断と治療は難渋する.そのため治療にあたり,この病原菌の特徴を把握していることが重要である.本症例は,33歳の初産婦で妊娠経過中はとくに異常を認めなかった.骨盤位の適応の下,選択的帝王切開にて2824gの男児をApgar score 9,臍帯動脈血pH 7.31で出生した.術後3日目まで発熱も認めず順調な経過であったが,術後4日目の夕方から39℃台の発熱が出現し,フルマリンの静脈内投与を開始した.しかし,38℃台の弛張熱が3日間継続するため,感染のfocusを検索するため骨盤MRI撮影をした.その結果,子宮筋層切開創の膿瘍を疑い,術後7日目に開腹ドレナージとフィニバックスへの変更をした.ドレナージ術後1日目に感染徴候はさらに増強したため,メロペンとテイコプラニンの2剤に変更したが,感染徴候に変化を認めなかった.臨床経過と培養状況よりMycoplasma感染症を疑い,テイコプラニンにクラビットを加えた抗菌剤投与をドレナージ術後4日目から実施した.クラビット投与後から感染徴候は劇的に改善した.最終的にドレナージ術後15日目の退院日に,本症の原因菌がM. hominisと確定した.〔産婦の進歩69 (1):26-31,2017(平成29年2月)〕</p>

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