播種性骨髄癌腫症を呈した子宮体癌の1例

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タイトル別名
  • A case of disseminated carcinomatosis of the bone marrow arising from endometrioid adenocarcinoma of the corpus uteri
  • 症例報告 播種性骨髄癌腫症を呈した子宮体癌の1例
  • ショウレイ ホウコク ハシュセイ コツズイ ガンシュショウ オ テイシタ シキュウタイ ガン ノ 1レイ

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抄録

<p>播種性骨髄癌腫症は固形癌のびまん性の骨髄転移によって播種性血管内凝固症候群,白赤芽球症,微少血管障害性溶血性貧血を呈し,出血傾向となる予後不良な病態である.本症は胃癌,乳癌,前立腺癌などでは報告がみられるが,婦人科癌ではきわめてまれである.今回本症を発症した子宮体癌の1例を経験したので報告する.症例は72歳,4経妊3経産で子宮内の腫瘤性病変を指摘され紹介受診となった.超音波検査およびMRI検査にて子宮内腔の液体貯留と隆起性病変を認め,吸引組織診にてendometrioid adenocarcinoma(G3)と診断された.術前のCTで多発肺転移,リンパ節転移を指摘され,可及的な腫瘍減量の目的で腹式単純子宮全摘出術,両側付属器摘出術を施行した.子宮体癌;endometrioid adenocarcinoma with squamous differentiaton(G3),Stage IVB(pT2NXM1)と診断したが,アルツハイマー型認知症の合併のため追加治療は行わず,経過観察となった.術後1カ月の検査にてLDH,ALPおよびD-dimerの著明な上昇と血小板減少を認め,骨髄転移を疑い骨髄生検を施行したところ,子宮摘出標本の腫瘍と同様の組織像が認められ,本症と診断した.肝転移・肺転移巣の急激な増大傾向もみられたが,追加治療は希望されず,術後55日目で原病死に至った.播種性骨髄癌腫症は,予後不良であり治療法も確立されてはいないが,血液検査でのLDHやALPの上昇や血小板の減少,多発骨転移などを認めた場合は本症を疑い,骨髄生検を行うことで早期の確定診断および治療方針の決定につながると思われる.〔産婦の進歩69(1):13-20,2017(平成29年2月)〕</p>

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