HELLP症候群に合併した後方可逆性脳症症候群および可逆性脳血管攣縮症候群

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タイトル別名
  • Posterior reversible encephalopathy syndrome and reversible cerebral vasoconstriction syndrome complicated with HELLP syndrome: a case report
  • 症例報告 HELLP症候群に合併した後方可逆性脳症症候群および可逆性脳血管攣縮症候群
  • ショウレイ ホウコク HELLP ショウコウグン ニ ガッペイ シタ コウホウ カギャクセイ ノウショウ ショウコウグン オヨビ カギャクセイ ノウ ケッカン レンシュク ショウコウグン

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抄録

<p>後方可逆性脳症症候群(posterior reversible encephalopathy syndrome;PRES)と可逆性脳血管攣縮症候群(reversible cerebral vasoconstriction syndrome;RCVS)の臨床的特徴,画像所見は多くの重なりを示し,共通の病態生理基盤をもつ可能性が指摘されている.われわれは妊娠高血圧症候群,HELLP症候群に伴う子癇発作を認めた妊婦に,画像上PRESと診断し,RCVSと同様の可逆性脳血管攣縮を認めた症例を経験したので報告する.症例は35歳の4経妊2経産.妊娠40週時に2日前から続く下痢,心窩部痛を認めたため当院を受診した.入院後に雷鳴様頭痛が出現し,その後全身強直性の痙攣発作を認めた.血液検査はT-bil 0.89 mg/dl, LDH 1788 IU/l, AST 699 IU/l, Plt 85000 /mm3でHELLP症候群と診断した.頭部CT検査を施行し,左シルビウス裂,右前頭葉高位円蓋部,半球間裂の脳溝に高吸収を認め,くも膜下出血と診断した.母体保護を優先して,全身麻酔下に緊急帝王切開術を行った.術直後のMRI検査で,FLAIR画像で左側尾状核,両側の被殻,両側後頭葉中心に皮質,皮質下に高信号域を認め,PRESの診断であった.術後3日目のMRA検査で,両側前大脳動脈,中大脳動脈近位に血管攣縮を認め,RCVSが疑われた.術後7日目の頭部MRI検査では,FLAIRで左右被殻の高輝度領域は減少し,拡散強調画像の高輝度もほぼ消失した.MRA検査で両側前・中大脳動脈の狭窄の改善を認めた.術後23日目に軽度の頭痛,記憶障害は残るものの全身状態が落ち着いたため退院となった.今後,さらなる症例の集積・検討が必要である.〔産婦の進歩69(3):269-276,2017(平成29年8月)〕</p>

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