高齢者における展望的記憶の検討―とくに存在想起と内容想起の違いについて―

書誌事項

タイトル別名
  • Prospective Memory in the Elderly : The Difference between Presence and Contents of Intentions to Remember
  • コウレイシャ ニ オケル テンボウテキ キオク ノ ケントウ トクニ ソンザイ ソウキ ト ナイヨウ ソウキ ノ チガイ ニ ツイテ
  • —とくに存在想起と内容想起の違いについて—

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抄録

高齢者の展望的記憶を評価し,他の神経心理学的検査や局所脳血流,日常生活場面での問題点との関係を検討した.対象は“もの忘れ”外来を受診した50 名で,診断名はアルツハイマー病 25 名,血管性認知症 14 名,Mild cognitive impairment(MCI)7 名,健常者 4 名であった.展望的記憶は日本版リバミード行動記憶検査の“持ち物”課題を用い,内容を自発的に思い出すこと(存在想起)と,なすべく行動の内容を覚えておくこと(内容想起)を評価した.その結果,認知症では存在想起と内容想起の両者が障害されるのに対し,MCIや健常者での内容想起は保たれることが多かった.存在想起は,右頭頂葉~角回,前頭葉内側部,左右海馬など大脳の広範な部位の局所脳血流と,内容想起は右海馬の局所脳血流と関連を認めた.生活健忘チェックリストでは,本人の自己評価では差を認めなかったが,家人の評価では存在想起,内容想起ともに関連を認め,日常生活場面での問題が明らかとなった.

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参考文献 (49)*注記

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