難聴を伴う重複障害児の変遷と現況

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  • CHANGES AND CURRENT STATUS OF DISABLED CHILDREN WITH HEARING LOSS
  • ―ABOUT THE PROBLEMS AT PRESENT―
  • ―現在における問題点を中心として―

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抄録

難聴を合併する重複障害の幼小児は非常に多く, 障害児における難聴の原因または原因疾患は様々である。我々は心身障害児総合療育医療センターを受診した1980年から2011年の過去30年における326症例において, ①疾患・原因の分類, ②年代ごとの比較, を行い, 難聴を伴う障害児の障害の種類・合併症の変遷と, その中で多く認められた染色体異常児における難聴の有無を調査し, 現在における重複障害児あるいは障害者における聴覚障害の現況と問題点を検討した。難聴を合併する疾患としては脳性麻痺, 先天奇形, 精神発達遅滞, 染色体異常, 髄膜炎・脳炎, 近年では低体重出生, 先天性サイトメガロウイルス感染症, auditory neuropathyなど様々である。染色体異常に関しては64症例中33例 (51.6%) で難聴が認められ, 21トリソミーでは56例中27例 (48.2%) で難聴が認められた。染色体異常児において難聴を合併する頻度は非常に高かった。障害児においてコミュニケーション方法の一つとして聴覚は非常に重要であり難聴の早期発見・早期療養が必要である。診断・検査・治療それぞれが大きく進歩し, それに伴い難聴を伴う障害児もより多様化しつつあり, 患児それぞれに適応した補聴・療育方法を検討していく必要がある。

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