ニンジンの生理障害,"ミミズバレ症"の解剖学的観察

書誌事項

タイトル別名
  • An Anatomical Observation of "Mimizubare-sho", a Physiological Disorder in Carrot Root
  • ニンジンの生理障害,"ミミズバレ症"の解剖学的観察〔英文〕
  • ニンジン ノ セイリ ショウガイ ミミズバレショウ ノ カイボウガクテキ カン

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抄録

石川県内の夏まきニンジンで,最近根部の表皮組織の下層が白く帯状に光る,"ミミズバレ症"とよばれる生理障害が多発し問題となっている。ここでは,"ミミズバレ症"の症状について報告する。1."ミミズバレ症"の発生していない正常根の収穫時の横断面では外側1〜2cmは深紅色であったが,"ミミズバレ症"の発生した異常根では横断面全面が白く光ってみえた。2.収穫後14日目では,正常根は収穫時のものと変らなかったが,異常根では根の表面に数ヶ所縦にくぼみが発生し,その横断面にはレンコンのように数個の空洞が発生していた。3.組織学的にみると,正常根では師部柔組織の細胞は相互に緊密に接合していたが,異常根では師部柔組織中に多数の間隙が認められた。4.比重は正常根の方が異常根より大きく,その差は師部柔組織で著しく,木部柔組織ではほぼ同じであった。5.乾物率は,師部柔組織では正常根より異常根で大きく,木部柔組織ではほぼ同じであった。以上より,いわゆる"ミミズバレ症"の発生したニンジンの根では,師部柔組織に多数の空気を含むと思われる間隙が生じるため,この部分が白く帯状に光るものと考えられる。

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