ディスポーザ排水の生物学的可溶化・資化反応特性

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タイトル別名
  • Analysis of Microbial Solubilization and Decomposition of Disposer Wastewater.
  • ディスポーザ ハイスイ ノ セイブツガクテキ カヨウカ シカ ハンノウ トクセイ

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抄録

ディスポーザ排水の生物学的排水処理プロセスは、ディスポーザ排水に含有する生ごみ固形物の可溶化反応と可溶化した生ごみの資化反応という2段階の生物学的な反応で進行すると考えられる。本研究では、ディスポーザ排水の生物学的な可溶化反応と資化反応の特性を水温および通気を対象とし、比較検討を行うことにより調査した。その結果、ディスポーザ排水の可溶化反応においては、水温および通気のどちらの項目に対しても影響を受け、水温が高く、通気がある場合において、ディスポーザ排水の可溶化速度が大きい結果となった。また、ディスポーザ排水の資化反応においては、通気の相違による影響が大きいことが明らかとなった。通気ありの条件では、SSの減少とともにBOD,D-BODの減少が認められ、生物学的な資化反応が速やかに進行するが、通気なしの条件では、SSの減少は進行するものの、BODの減少はほとんど認められず、また、D-BODに関しては増加する傾向にあった。これらの通気の相違によるBOD、D-BODおよびSSの変化を炭水化物、蛋白質、脂質と合わせて考察した結果、ディスポーザ排水に含有するこれらの有機炭素成分は通気なしの条件では、有機酸やアルコールなどの中間生成物にまでは進行するものの、中間生成物のさらなる資化反応が速やかに進行しないことが原因であると考えられた。また、ディスポーザ排水を処理できるベンチスケールの実験装置を用い、水温を13℃から20℃へ上昇させる実験を実施した結果、貯留されていた生ごみの可溶化反応が急激に進行し、一時的に処理水質が悪化する傾向が認められた。この結果から、ディスポーザ排水対応型の排水処理システムにおいては、低温時においても、生ごみ貯留部である嫌気可溶化槽に対して好気槽から好気水の常時循環などにより、常に生ごみ固形物の可溶化を進行させ、嫌気可溶化槽に貯留される生ごみ固形物量を少なくすることにより、水温上昇時における処理水質の悪化は低減できるものと考えられた。

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