成人気管支喘息患者と慢性気道感染症患者における血清Tumor Necrosis Factor Alpha値およびSoluble Tumor Necrosis Factor-Receptor I値の検討

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  • SERUM LEVELS OF TUMOR NECROSIS FACTOR ALPHA AND SOLUBLE TUMOR NECROSIS FACTOR-RECEPTOR I IN ASTHMATIC PATIENTS AND PATIENTS WITH CHRONIC RESPIRATORY TRACT INFECTION

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抄録

我々は外来通院中の中等症の気管支喘息患者11名と緑膿菌の持続感染のある慢性気道感染症患者10名の血清中tumor necrosis factor alpha (TNF-α) とsoluble tumor necrosis factor-receptor I (sTNF-R I) の濃度を測定し検討した。喘息患者では血清eosinophil cationic protein (ECP) 値も測定し比較検討した。対照群として健常者の血清を用いた。TNF-αとsTNF-R Iの測定はEIAキットで行った。その結果, 血清TNF-α値は喘息群では2.864±0.719pg/ml, 慢性気道感染症群では2.564±1.384pg/mlであり, 両群とも正常対照群 (0.681±0.453pg/ml) と比較して有意に上昇しており, TNF-αは両群に共通した病態としての気道の炎症を引き起こすのに重要な役割を果たしている可能性が示唆された。血清sTNF-R I値は, 喘息群では758±268pg/ml, 慢性気道感染症群では999±242pg/mlであり, 対照群 (909±268pg/ml) と有意差はなかった。血清TNF-αとsTNF-R I間には, 対照群と慢性気道感染症群では有意の相関関係が認められたが, 喘息群では認められなかった。喘息群では%TNF-α/sTNF-R IとPEF%最善値との間に有意の相関が認められた。つまり, PEF%最善値が低いほど, TNF-α値がsTNF-R I値に比して高くなり, そのTNF-α-可溶性レセプター間のバランスの崩れと喘息病態の悪化との関連が示唆された。さらに喘息群では血清ECP値は血清TNF-α値と有意に相関しており, ECPが活性化された好酸球より遊離されることより, 喘息でのTNF-αと好酸球性炎症との関連が示唆された。以上より, TNF-αは喘息と慢性気道感染症の気道の炎症などの病態に関与している可能性があり, 特に喘息では好酸球性炎症への関与が示唆され, その悪化にはsTNF-R Iとのバランスの崩れの関与も疑われた。

収録刊行物

  • アレルギー

    アレルギー 46 (11), 1136-1147, 1997

    一般社団法人 日本アレルギー学会

参考文献 (22)*注記

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