症状の誘発が困難であった食物依存性運動誘発アナフィラキシーの2例

  • 森本 謙一
    広島大学大学院医歯薬学総合研究科創生医科学専攻探索医科学講座皮膚科学
  • 真田 聖子
    広島大学大学院医歯薬学総合研究科創生医科学専攻探索医科学講座皮膚科学
  • 原 武
    広島大学大学院医歯薬学総合研究科創生医科学専攻探索医科学講座皮膚科学
  • 秀 道広
    広島大学大学院医歯薬学総合研究科創生医科学専攻探索医科学講座皮膚科学

書誌事項

タイトル別名
  • TWO CASES OF FOOD-DEPENDENT EXERCISE-INDUCED ANAPHYLAXIS DIFFICULT TO EVOKE SYMPTOMS BY PROVOCATION TEST
  • ショウジョウ ノ ユウハツ ガ コンナン デ アッタ ショクモツ イゾンセイ ウンドウ ユウハツ アナフィラキシー ノ 2レイ

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抄録

症例1: 28歳の女性.小麦製品を摂取した後の歩行にて,くしゃみ,鼻汁,眼瞼腫脹を数回繰り返した.症例2: 14歳の男性.昼食後の運動にて全身に膨疹,呼吸困難を繰り返した.詳細な問診にて症状出現時に共通してリンゴを摂取していたことが判明した.2例とも食物摂取のみ,運動負荷のみでは症状は出現しない.食物依存性運動誘発アナフィラキシー(FDEIA)と考え,入院して型どおりの誘発試験を試みたが症状は誘発されなかった.症例1は退院後,疲労および寒冷条件下で小麦摂取と運動負荷を行ったところ症状が誘発され,小麦によるFDEIAと診断した.症例2は退院後,感冒時にリンゴを摂取して運動したところ症状が誘発され,リンゴによるFDEIAと診断した.FDEIAの誘発,増強因子としては,寒冷,感冒,ストレスなどが知られている.温暖でストレスの少ない入院環境では誘発成功率が低下する可能性が考えられた.診断の精度向上のためには,食物,運動以外の要因についても考慮して検査を計画する必要があると考えられた.

収録刊行物

  • アレルギー

    アレルギー 55 (11), 1433-1436, 2006

    一般社団法人 日本アレルギー学会

被引用文献 (5)*注記

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参考文献 (4)*注記

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