フッ素歯磨剤処理によりハイドロキシアパタイト表面に形成されたフッ素性アパタイトの^<19>F-MAS固体NMRおよびESCAによる同定

  • 福田 康
    ライオン株式会社研究開発本部(オーラルケア研究所)
  • 中嶋 省志
    ライオン株式会社研究開発本部(オーラルケア研究所)
  • 谷沢 善明
    ライオン株式会社研究開発本部(分析センター)
  • 金子 憲司
    ライオン株式会社研究開発本部(オーラルケア研究所)

書誌事項

タイトル別名
  • ^<19>F-MAS NMR and ESCA Characterization of Fluoridated Apatite Formed on Hydroxyapatite by Reaction with Fluoride Dentifrice

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説明

歯磨剤の使用法を考慮に入れた条件下で,フッ素歯磨剤で処置されたハイドロキシアパタイト(以下HA)の表面にフッ素性アパタイト(以下FA)が形成されているかどうかを,^<19>F-MAS固体NMR (Magic Angle Spinning Nuclear Magnetic Resonance)およびX線光電子分光分析法(XPSまたはESCA)を用いて分析した。すなわち,1日のうち,HAパウダーをモノフルオロリン酸ナトリウム配合歯磨剤のスラリーに約9時間浸潰し,次いで残り時間(約13時間)これをHAに対し過飽和にある人工唾液に浸潰し,この両処置を2週間にわたって繰り返した。こうして処置されたHAパウダーを,1Mの水酸化カリウム液(KOH)で処理し,残留したフッ素濃度を測定した。その結果,KOH処理前では10,650 ppmのフッ素が,また処理後は7,224 ppmのフッ素が検出された。KOHで処理したHAサンプルについて,^<19>F-MAS NMR分析およびESCA分析を行った結果,両分析法においてFAの存在が推定された。今回新しく採用した^<19>F-MAS NMR分析法で得られたピーク値やその幅広化の程度から,FAの結晶学的状態について,一定の推察が可能であり,ミネラル相に存在するフッ素の化学的状態を研究する上で,潜在的に優れた機能を有していることが示唆された。

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被引用文献 (1)*注記

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参考文献 (27)*注記

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