一般市中病院におけるBell麻痺患者の受診背景と予後因子に関する検討

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タイトル別名
  • A Clinical Study of Bell's Palsy and Factors Influencing its Prognosis
  • イッパン シチュウ ビョウイン ニ オケル Bell マヒ カンジャ ノ ジュシン ハイケイ ト ヨゴ インシ ニ カンスル ケントウ

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抄録

一般市中病院におけるBell麻痺患者の受診背景と予後因子を明らかにするため, 2003年1月から2005年12月までの3年間に当科で治療を行ったBell麻痺新鮮例185例を対象として統計学的解析を行った. 発症から6カ月経過した時点での全体の治癒率は85.0%であった. Bell麻痺患者は重症度に関わらず早期受診が多い特徴がみられた. 初診時顔面神経麻痺スコアが低ければ統計学的に有意に予後は悪いという結果であったが, 弱い相関関係に留まった. 予後診断検査としてのアブミ骨筋反射は陽性的中率95.5%, 陰性的中率18.6%であった. さらにどのような因子が予後に寄与しているかについて, コックス比較ハザードモデルを用いた後向きコホート研究を行った. 検討した因子は, 性別, 患側, 年齢, 自覚症状 (耳痛, 味覚障害, 眼症状) の有無, 糖尿病合併の有無, 顔面神経麻痺スコア (経過中の最低値), 抗ウイルス剤投与の有無である. その結果, 顔面神経麻痺スコア最低値および抗ウイルス剤の有無のみが有意差をもって予後と関連していた. 顔面神経麻痺スコアのハザード比は1.101, 抗ウイルス剤のハザード比は1.586であった. 研究デザインの限界から解釈には一定の慎重さが求められるものの, 抗ウイルス剤の投与が予後の改善に寄与する可能性が考えられた.

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参考文献 (29)*注記

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