蝶形骨洞炎の先行感染が示唆されたFisher症候群

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タイトル別名
  • A Case of Fisher Syndrome Following Sphenoiditis
  • チョウケイコツドウエン ノ センコウ カンセン ガ シササレタ Fisher ショウコウグン

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抄録

Fisher症候群は, Guillain-Barre症候群の亜型であり, 急性発症する外眼筋麻痺・運動失調・腱反射消失を三主徴とする. 今回われわれは蝶形骨洞炎の先行感染が示唆されたFisher症候群の一例を経験した.<br>症例は39歳男性. 鼻漏, 鼻閉を自覚後3日目より複視, 動揺感を来したため近医受診した. 頭部MRIにて蝶形骨洞炎を指摘され, 鼻性眼窩内合併症の疑いで, 同日当科受診となった. 来院時, 右蝶形骨洞自然孔より膿汁の流出があり, CTでも右蝶形骨洞に軟部陰影認めたが, 骨破壊や石灰化像を認められなかったことから, 悪性腫瘍や真菌症は否定的と考えた. 神経学所見では両側の外転障害が認められ, 右一側性の蝶形骨洞炎の眼窩内合併症とは考えにくく, さらに四肢腱反射低下, 運動失調を認めたことから, Fisher症候群を疑った. 髄液蛋白細胞解離, 血中抗GQ1b抗体を認め, Fisher症候群と診断した.<br>Fisher症候群は, 先行感染により動眼, 滑車, 外転神経などに対する抗体 (抗GQ1b抗体) が産生され, 症状が発現すると考えられている. 本症例では蝶形骨洞炎が先行感染となり発症した可能性が考えられた. 鼻性眼窩内合併症と鑑別を要する疾患として念頭に置く必要があると考えられた.

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