蛙第八脳神経節の電子顕微鏡的観察

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  • カエル ダイハチ ノウ シンケイセツ ノ デンシ ケンビキョウテキ カンサツ
  • [Electron microscopic observation on the 8th cranial nerve ganglion of the toad].

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抄録

内耳神経節の神経細胞はほとんどが髄鞘に囲まれた双極細胞で極めて特異的な存在である.しかし蛙の同神経節では80%が無髄細胞であると云う報告(Munzer)があるが,これは温血動物とは全く対照的な所見である.そこでこの事実を確かめるべく,われわれは蛙8脳神経節を超微レベルで観察し,以下の如き結果を得た.<br>本神経節には大型の有髄細胞と小型の無髄細胞が認められたが,前者は一般の末梢神経節にみられるいわゆる明細胞に,又後者は暗細胞に一致した.<br>小型暗細胞は神経周辺部に多く分布し,大型有髄細胞は中心部に多かつた.又両者の分布比はMunzerの指摘する如く前者が約80%を高めた.<br>小型暗細胞は電顕的には更に一層の外套細胞のみの無髄神経細胞と,数層の外套細胞質より成る疎性髄鞘を有する細胞とに分けられた.両者共核周部には粗面小胞体•ribosome等のorganellaが密に存在し,細胞全体としては暗調を呈している.<br>本細胞にはglycogen顆粒が多いこと,外套細胞に特有のvesicleが認められること等も,他の末梢神経節細胞とよく類似していることを示している.<br>一方大型有髄明細胞の特徴は,有髄神経線維と同一緻密度のcompact myelinで外周が坂り巻かれていることである.又核周部は organellaが少なく,neurofilamentが多いので全般に明るい外見をみせている.更にこの有髄細胞は形態上の種々の特徴から,有髄神経線維との著しい類似性を思わせた.大型明細胞が髄鞘を付けていた事実は,明暗細胞の意義づけに対し新たな根拠を与えるものと考えられる.<br>神経節における神経線維は中心部に太い有髄神経線維,それよりやや外方に細い有髄線維,周辺部には無髄神経線維が多く分布していた.小型暗細胞より突出した無髄線維は途中より髄鞘形成を示しているが,周辺部にみられる無髄線維の多くは自律神経性のものと思われた.

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