抗家兎扁桃鶏血清を用いた実験的糸球体腎炎に関する研究

書誌事項

タイトル別名
  • コウカト ヘントウ ケイ ケッセイ オ モチイタ ジッケンテキ シキュウタイジンエン ニ カンスル ケンキュウ
  • [Experimental glomerulonephritis induced by anti-rabbit tonsil serum developed in chickens].

この論文をさがす

抄録

抗家兎扁桃鶏血清を家兎に注射することによつてビマン性系球体腎炎を実験的に作成した.<BR>著明な蛋白尿と血尿が認められ, 組織学的には糸球体の上皮細胞や内皮細胞の腫大と増殖が認められ, 基底腫の肥厚を伴う所見を呈した. この臨床的ならびに組織学的所見はネフロトキシン腎炎と多くの点において類似している.<BR>抗家兎扁桃血清から抗体を吸収できる能力のある可溶性のprotective factorが, 家兎扁桃ホモジネートのトリプシン消化上清液から得られた.<BR>Ouchterlony法によつて家兎扁桃と家兎腎のトリプシン消化液の間には免疫学的交叉反応がみられた.<BR>扁桃ホモジネートの免疫電気泳動では2つの沈降線が認められたが, その一つはOsserman法で, γ-gl位で腎と交叉反応を示した.<BR>可溶性protective factorの大部分は68%アルコール分画で沈澱に集り硫安分画では分離できなかつた.<BR>共通抗原の決定には螢光抗体法直接法を行つた. 糸球体, 尿細管に螢光物質の沈着がみられた. このことから抗腎血清抗原は腎のみならず扁桃にも存在するものと推察される.<BR>抗原のトリプシン消化を行つたCole, CromatyおよびWatsonは抗腎血清抗原は蛋白とpolysaccharide complexであろうと述べている. そしてこれはhaptenとしての性格を持つものであろう. この考えは著者の今回の実験成績からも支持できる.<BR>臨床的にも明らかなように絶えず感染をうけている扁桃は腎障害性を発揮し得るものと推察される.<BR>もし人の扁桃経由腎炎が病巣抗原やhapten機構にもとづいて自己免疫過程が生じこれによつて腎炎が発症するものとすれば, その抗原物質は抗腎血清抗原と類似のものと考える.

収録刊行物

キーワード

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ