成人急性鼻副鼻腔炎のスコアリングシステムと重症度分類の検討

  • 山中 昇
    和歌山県立医科大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科
  • 保富 宗城
    和歌山県立医科大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科
  • 戸川 彰久
    和歌山県立医科大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科
  • 池田 頼彦
    和歌山県立医科大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科
  • 田村 真司
    和歌山県立医科大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科

書誌事項

タイトル別名
  • A New Scoring System for Assessing the Severity of Adult Acute Rhinosinusitis
  • セイジン キュウセイ ハナ フクビコウエン ノ スコアリング システム ト ジュウショウド ブンルイ ノ ケントウ

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抄録

急性鼻副鼻腔炎の診断と治療においては, 重症度評価を正しく行い適切な抗菌薬を選択する必要がある. われわれは, 臨床症状3項目 (鼻漏, 発熱, 顔面痛), 鼻内所見3項目 (鼻汁の性状と量, 鼻粘膜腫脹, 粘膜発赤) をスコア化し重症度分類, 臨床経過を定量的に評価できるスコアリングシステムとそれに基づいた重症度分類を2006年に発表した. 今回, 本スコアリングシステムの検討を目的に, 成人急性鼻副鼻腔炎の治療実態調査を行った. 対象95例における治療開始前の有症状・所見率は, 発熱8.4%, 漿液性鼻汁3%と少なく, 評価項目として有用性が低いことが示唆された. 主治医判定の重症度分類との相関性 (r) では, 粘膿性鼻汁 (0.67), 顔面痛 (0.51), 鼻漏 (0.47), 腫脹 (0.45) で有意な相関を認めた. 一方, 腫脹は臨床効果判定においてスコア判定と主治医判定の差異の要因になっていた. 主治医判定の重症度分類に影響を与える因子 (多変量解析) は, 粘膿性鼻汁, 顔面痛, 鼻漏が有意 (p<0.0001) で, 腫脹は影響が少なかった (p=0.49). 以上より, 新スコアリングシステムの評価項目 (スコア) は, 粘膿性鼻汁 (0, 2, 4), 顔面痛 (0, 1, 2), 鼻漏 (0, 1, 2) の3項目とし, 重症度分類は主治医判定との一致率から合計スコアが軽症 (1-3), 中等症 (4-6), 重症 (7-8) とした.

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参考文献 (11)*注記

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