頸部郭清術の手術手技 —確実かつ安全な頸部郭清術のために—

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  • ダイ111カイ ニホン ジビ インコウカ ガッカイ ソウカイ ランチョンセミナー ケイブカクセイジュツ ノ シュジュツ シュギ カクジツ カツ アンゼン ナ ケイブカクセイジュツ ノ タメニ
  • [Surgical techniques in cervical lymph node dissection].

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抄録

頸部郭清術は, 頸部リンパ節転移に対する標準術式であり, 既に100年以上の歴史がある. 頭頸部外科医にとって最も基本的な術式の一つであり, その手技に習熟しておく必要がある. 頸部郭清術はさまざまな術式が考案され, 郭清範囲, 温存する組織によって手術アプローチや難易度は異なってくる. レベルIからVを郭清する全頸部郭清術を基本として, 肩甲舌骨筋上頸部郭清術, 側頸部郭清術などに代表される選択的頸部郭清術がある. 選択的頸部郭清術では郭清範囲が少なくなる一方, 温存する組織が多く, また術野の展開が難しくなるので, 手術手技としての難易度は上がる. 選択的頸部郭清術は, あくまで全頸部郭清術の「部分版」であって, 郭清すべき領域が甘い郭清になってはならない. 本稿では, 郭清術として最も頻度が高くかつ頸部郭清術の基本となる全頸部郭清術について, 「確実かつ安全な」という点を主題として, 成書にはあまり書かれていない手技上のコツも含めて手技に絞って述べることにする. 「確実かつ安全な」という観点から手技上のポイントを整理すると, 皮切線に応じた十分な皮膚剥離を行い広い術野を得ること, 本術式は筋膜に沿って剥離を進めていくことが基本であるので, 頸部の解剖, 特に筋膜の構造に精通すること, 結紮することを怠慢せず, 極力出血させないこと, 剥離をする手術器具を十分に使いこなせること, 根治的な術式を十分に経験した後に温存術式にトライすることなどが挙げられる.

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参考文献 (14)*注記

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