[Current status and problems with thyroid cytodiagnosis].

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  • 甲状腺細胞診の現状と問題点
  • タ リョウイキ カラ ノ トピックス コウジョウセン サイボウシン ノ ゲンジョウ ト モンダイテン

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2004年, WHOによる甲状腺腫瘍組織分類の改訂が行われた. これに伴いわが国でも2005年, 甲状腺癌取り扱い規約が改定された. 本稿では, 乳頭癌の亜型の細胞診所見, 細胞学的に乳頭癌と紛らわしい疾患, 濾胞性腫瘍の細胞診断の困難性の3点につき概説する.<br>今回, 乳頭癌の亜型として7つの亜型を採用した. このうち濾胞型乳頭癌, 被包型乳頭癌, 大濾胞型乳頭癌は通常の乳頭癌と細胞学的に相違はない. 好酸性細胞型は遭遇する頻度がとても少ないため, 現実に問題となるのは残り3型である. びまん性硬化型乳頭癌は多数の砂粒小体, 硝子化, 石灰化が観察され, 細胞診でも推定可能である. 高細胞型乳頭癌は予後が不良であり, 細胞診で診断する意味がある. 細胞学的にはその名称通り, 一般の乳頭癌と比べ細胞質ならびに核の丈が高くなる. 篩 (・モルラ) 型乳頭癌は臨床的にも特異な疾患である. 家族性大腸ポリポージスの一部分症として知られており, 濾胞状, 乳頭状, 索状あるいは篩状構造を示す他, モルラと称される充実性胞巣が散見されるという特徴的な形態を示す. この形態が細胞診でも反映される.<br>細胞学的に乳頭癌と紛らわしい疾患には腺腫様甲状腺腫, 橋本病, 硝子化索状腫瘍が挙げられ, ときに乳頭癌と間違う場合がある. 特に硝子化索状腫瘍はその細胞学的特徴を把握していないと誤診の原因となる.<br>濾胞性腫瘍には腫瘍内にheterogeneityがある. そのため細胞診の採取部位によっては正しい診断が得られない可能性がある. エコー下で低エコーの部位からの採取を心掛けることにより, 正診率の向上が期待される.<br>病理医と耳鼻科医あるいは外科医双方が細胞診の限界を認識し, 他の診断ツールを併用することにより診断率の向上を目指していきたいと考える.

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