私の医用エアロゾル研究

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  • 最終講義 私の医用エアロゾル研究
  • サイシュウ コウギ ワタクシ ノ イヨウ エアロゾル ケンキュウ

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抄録

私は1973年 (昭和48年) に東邦大学医学部を卒業した. 麻酔科で2年間研修した後, 1975年に名越好古教授の東邦大学耳鼻咽喉科学教室に入局した. 入局直後から臼井信郎講師 (後の東邦大学教授) に指導を受け鼻腔生理学の研究を開始した. この中で日本医用エアロゾル研究会と出会い, 耳鼻咽喉科領域のエアロゾル研究は私のライフワークとなった.<br> ここでは私が行ったエアロゾル関係の研究の中で印象に残ったエアロゾル粒子の気道内沈着とネブライザーにおける薬液濃度の濃縮についてまとめてみる.<br> エアロゾル療法とは薬剤を微細な粒子にして浮遊させ鼻腔・咽頭・喉頭・気管・肺に沈着させる治療法で耳鼻咽喉科領域においては汎用されている治療であり内服, 坐剤, 注射, 経皮に次ぐ経呼吸器局所薬物療法である. エアロゾル化された薬剤を標的部位にいかに到達させるかが重要である. エアロゾル粒子の沈着は粒子径により大きく左右される.<br> われわれの実験においてはエアロゾル粒子の体内沈着率はアイソトープ液を用いて1回注入式のジェット式ネブライザーで経鼻的に吸入を行わせた場合, 注入量の約22%であった. 体内に沈着したエアロゾルの54%が鼻部に沈着していた. ネブライザー容器内には注入量の50%程度残留がみられた. このことは一回注入式ジェット式ネブライザーにて吸入させる場合これら残量を考慮しあらかじめ注入量を決定する必要があると考えた. 経口的に吸入を行わせたエアロゾル粒子の沈着実験では喉頭領域の沈着は声門が狭いと沈着率が高くなると考えられた.<br> ネブライザー療法における留意点としては薬剤の安定性が重要である. 抗菌薬を用いた実験においてジェット式ネブライザー, 超音波式ネブライザーともに薬液濃度の濃縮がみられた. 薬液濃度の経時的変化には注意が必要である.

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