切除不能局所進行頭頸部癌に対する放射線治療の役割

書誌事項

タイトル別名
  • The Role of Radiotherapy for Unresectable Locally Advanced Head and Neck Cancer
  • セツジョ フノウ キョクショ シンコウトウ ケイブガン ニ タイスル ホウシャセン チリョウ ノ ヤクワリ

この論文をさがす

抄録

放射線治療は機能温存の点で優れており,頭頸部癌領域において極めて重要な役割を果たしている。切除不能頭頸部癌においては放射線治療が唯一の根治療法となるが,放射線単独治療では極めて予後不良であったため,多分割照射,化学療法との併用が試みられた。相対的に良好な成績が報告されたことを受け,現在では化学放射線同時併用療法が標準治療としての地位を確立している。<br>近年,分子標的薬が開発され,放射線治療との併用による有効性が示された。ただし,化学放射線同時併用療法と比較した場合における有効性はわかっておらず,初回治療におけるcetuximabの位置づけはまだ確立していない。<br>予後改善,有害事象軽減を目的として強度変調放射線治療や粒子線治療など治療開発が進んできている。唾液分泌障害のリスク軽減は報告されたが,治療成績の改善には至っていない。ただし,放射線治療抵抗性の腫瘍に対する粒子線治療の有効性は証明されつつある。<br>切除不能頭頸部癌の標準治療は化学放射線同時併用療法だが,治療成績はまだ十分とは言えない。古くて新しい動注療法の再評価,分子標的薬の開発,IMRT,粒子線治療の登場により,今後さらなる進歩を遂げるものと思われる。

収録刊行物

参考文献 (17)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ