内視鏡による咽頭・頸部食道損傷とその処置についての検討

  • 麻生 丈一朗
    久留米大学医学部 耳鼻咽喉科・頭頸部外科学講座
  • 梅野 博仁
    久留米大学医学部 耳鼻咽喉科・頭頸部外科学講座
  • 佐野 仁紀
    久留米大学医学部 耳鼻咽喉科・頭頸部外科学講座
  • 永田 圭
    久留米大学医学部 耳鼻咽喉科・頭頸部外科学講座
  • 前田 明輝
    久留米大学医学部 耳鼻咽喉科・頭頸部外科学講座
  • 千年 俊一
    久留米大学医学部 耳鼻咽喉科・頭頸部外科学講座
  • 中島 格
    久留米大学医学部 耳鼻咽喉科・頭頸部外科学講座

書誌事項

タイトル別名
  • Treatment of Endoscopic Perforation of the Hypopharynx and Cervical Esophagus
  • ナイシキョウ ニ ヨル イントウ ・ ケイブ ショクドウ ソンショウ ト ソノ ショチ ニ ツイテ ノ ケントウ

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説明

内視鏡による咽頭・頸部食道損傷は頻度こそ少ないが,早期に適切な処置を行わなければ重篤化するおそれがある。通常咽頭・頸部食道損傷に対する外科的処置方法としては,可及的早期に頸部外切開を行い,可能であれば損傷部を一期的に縫合閉鎖する。また膿瘍形成を認める場合には,頸部切開創を開放創とし,時期をみながら経口摂取を開始させ,異常がないことを確認してから開放創を二期的に縫合閉鎖するのが一般的である。今回われわれが経験した上部消化管内視鏡検査で下咽頭穿孔から頸部皮下気腫,および縦隔気腫をきたした症例では,穿孔径が大きく,さらに穿孔部周囲には膿汁様唾液が貯留していたため,自然閉鎖,および一期的縫合閉鎖は困難と判断した。しかしながら膿瘍形成には至っていなかったため,頸部外切開創を開放創とせず,新たな外科的処置として咽頭皮膚瘻を形成することで穿孔部の安全で早期の閉鎖が可能になり,さらに気腫形成部への感染の波及を予防できた。このように咽頭・頸部食道損傷症例において創部感染を認めるが,膿瘍形成には至っていない場合には,創処置を行うことで比較的早く確実な創閉鎖が可能であると考えられた。

収録刊行物

参考文献 (10)*注記

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