高気圧酸素療法を併用し保存的治療のみで治癒した頸部ガス壊疽の1例

  • 平川 治男
    呉医療センター・中国がんセンター 耳鼻咽喉科・頭頸部外科
  • 西 康行
    呉医療センター・中国がんセンター 耳鼻咽喉科・頭頸部外科
  • 渡部 泰輔
    呉医療センター・中国がんセンター 耳鼻咽喉科・頭頸部外科
  • 多田 誠
    呉医療センター・中国がんセンター 耳鼻咽喉科・頭頸部外科
  • 藤原 裕美
    むぎ耳鼻咽喉科

書誌事項

タイトル別名
  • A Case of Gas Gangrene in the Neck Cured by Combined Hyperbaric Oxygen Therapy Instead of Surgery
  • 症例 高気圧酸素療法を併用し保存的治療のみで治癒した頸部ガス壊疽の1例
  • ショウレイ コウキアツ サンソ リョウホウ オ ヘイヨウ シ ホゾンテキ チリョウ ノミ デ チユ シタ ケイブ ガス エソ ノ 1レイ

この論文をさがす

抄録

頸部ガス壊疽を含む深頸部感染症に対して抗生剤と手術の併用は確立された治療法の一つである。しかし合併症のある患者では手術ができないことがある。今回われわれは手術の代わりに高気圧酸素療法 (HBO) を併用して治癒した頸部ガス壊疽症例を報告する。患者は80歳の男性で,前医で抗生剤の経口および点滴投与を受けたが2週間近くも喉の痛みと発熱が続くため当院を受診した。内視鏡検査では,左披裂喉頭蓋ひだ近傍に腐敗臭と膿性分泌物を伴う潰瘍病変と咽頭後壁腫脹,左声帯固定を認めた。前頸部には硬結腫脹を認めた。腫脹周辺には握雪感を認めた。CTとMRIでは,ガス産生性膿瘍が頤から鎖骨の間に存在していた。患者には,不整脈,心不全,糖尿病,腎機能障害,アスピリンとワルファリン服用による出血傾向など多くの合併症があった。加えて咽頭の潰瘍形成と声帯固定から悪性腫瘍が潜んでいることが疑われた。手術では播種の可能性があった。合併症と悪性腫瘍が疑われることから外科的治療を行わなかった。最終的に患者は手術をしないで抗生剤とHBOの併用により治癒した。1年の経過観察で今のところ悪性腫瘍はみられていない。

収録刊行物

被引用文献 (1)*注記

もっと見る

参考文献 (1)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ