輪状披裂関節の固着を伴った反回神経麻痺症例の臨床的観察と治療について―3症例の経験から―

  • 山口 智
    日本医科大学武蔵小杉病院 耳鼻咽喉科
  • 三枝 英人
    日本医科大学付属病院 耳鼻咽喉科・頭頸部外科
  • 小町 太郎
    日本医科大学千葉北総病院 耳鼻咽喉科
  • 門園 修
    日本医科大学千葉北総病院 耳鼻咽喉科
  • 伊藤 裕之
    日本医科大学付属病院 耳鼻咽喉科・頭頸部外科

書誌事項

タイトル別名
  • Clinical Findings and Treatment Approach for Unilateral Recurrent Laryngeal Nerve Palsy with Ankylosis in Fixation of the Cricoarytenoid Joint
  • 症例 輪状披裂関節の固着を伴った反回神経麻痺症例の臨床的観察と治療について : 3症例の経験から
  • ショウレイ リンジョウヒレツカンセツ ノ コチャク オ トモナッタ ハン カイ シンケイ マヒ ショウレイ ノ リンショウテキ カンサツ ト チリョウ ニ ツイテ : 3 ショウレイ ノ ケイケン カラ

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説明

一側反回神経麻痺に輪状披裂関節固着を合併し,高度の発声障害をきたした3症例を経験した。3症例の音声は,失声の状態であった。すべて弓部大動脈瘤の術後に発生した反回神経麻痺であった (症例1,3は術中に反回神経を切断,症例2は,後輪状披裂筋の病理検査にて神経原性変化を認め,反回神経麻痺と確定診断された) 。全例で,大動脈瘤に対する術中に,経食道心臓超音波内視鏡にて,循環血行動態のモニタリングを行ったというエピソードがあった。喉頭内視鏡検査にて,左声帯が開大位に固定され,右声帯に比べて高位に存在し,披裂軟骨の声帯突起の輪郭は不明瞭であり,発声時の高度な声門閉鎖不全を認めた。喉頭ヘリカルCT検査では,左披裂軟骨が輪状軟骨の後方へ乗り上げ固着している所見であった。音声改善のため手術を行ったが,輪状披裂関節を直視した所,輪状披裂関節は固着し,不動であった。さらに,後輪状披裂筋を後方に剥離すると,披裂軟骨は輪状軟骨の後端を超えて後方に乗り上げ,輪状披裂関節は固着していることが確認された。その後,輪状披裂関節の固着を解除した上で,披裂軟骨の筋突起を内転させた所,音声の改善を得ることができた。

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参考文献 (6)*注記

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