認知機能の嚥下機能への影響

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  • Influence of Cognitive Function on Swallowing Function
  • ニンチ キノウ ノ エンカ キノウ エ ノ エイキョウ

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抄録

<p>認知機能の低下による嚥下障害は先行期(anticipatory stage),嚥下準備期(preparatory stage)の障害とされているが,高齢者に多いためADLや心肺機能の低下など嚥下障害の要因が重なることが多く,先行期,嚥下準備期の障害のみであるかを詳細に検討した報告は少ない。今回われわれは高齢者でADLの比較的安定している症例を対象に認知機能と嚥下機能の関係を検討した。認知機能は改訂長谷川式認知症スケール(Hasegawa dementia scale-revised:HDS-R),Mini-mental state examination:MMSE,嚥下機能は嚥下内視鏡検査(videoendoscopy:VE),嚥下造影検査(videofluorography:VF)で評価した。HDS-R,MMSEともに低得点群と高得点群に分け,VEでは嚥下内視鏡スコアを比較し,VFでは嚥下反射の開始時の造影剤の位置,造影剤の通過から喉頭挙上が起こるまでの時間である喉頭挙上遅延時間(delay time of laryngeal elevation:LEDT),造影剤が下咽頭に達したときの喉頭の挙上した割合を示す下咽頭流入時喉頭挙上度(relative laryngeal elevation(%)at P point:% LE(p)),および喉頭挙上距離を比較した。結果は,嚥下反射の惹起性を反映するパラメータのみ有意差を認め,認知機能の低下は嚥下反射の惹起性のみに影響を与え,他の嚥下機能には影響を与えないと考えられた。</p>

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