28年間に経験した嚥下障害205例の統計

  • 伊藤 裕之
    神奈川リハビリテーション病院 耳鼻咽喉科 東京女子医科大学八千代医療センター 耳鼻咽喉科
  • 加藤 孝邦
    東京慈恵会医科大学 耳鼻咽喉科学教室
  • 小泉 千秋
    神奈川リハビリテーション病院 理学療法科
  • 鈴木 康司
    順天堂大学医学部 リハビリテーション科
  • 棚橋 汀路
    日本聴能言語福祉学院
  • 三枝 英人
    東京女子医科大学八千代医療センター 耳鼻咽喉科

書誌事項

タイトル別名
  • Statistics on 205 Patients with Dysphagia during 28 Years
  • 28ネンカン ニ ケイケン シタ エンカ ショウガイ 205レイ ノ トウケイ

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説明

<p>28年間に経験した205例の嚥下障害について報告した。このうち2例は治療中に死亡した。他の2例は精神疾患合併例で,家族は嚥下障害の治療を希望したが,患者は治療を辞退した。他の1例は,治療中に膵臓癌が見つかり,患者の希望により治療を中止した。他の2例は,治療方針に患者の同意が得られなかった。治療前に固形物や液体の経口摂取ができず経管栄養に依存していた症例を対象として,理学療法を用いた機能訓練と嚥下機能改善術を行った,治療後に経管栄養から離脱できた症例を予後良好とした。198例のうち16歳未満の症例は7例であり,16歳未満の,破裂脳動静脈奇形4例,脳外傷,外傷性脳梗塞,後頭蓋窩血管芽腫各1例であった。予後良好例は破裂脳動静脈奇形の2例であった。1例は独歩可能,他の1例は車イス移動であった。破裂脳動静脈奇形2例は再破裂により死亡した。</p><p>16歳以上の191例中良好例は100例,不良例は91例であった。男女間では予後に有意差はなかった。脳血管障害は96例で良好例は55例,TBIは16例で良好例は7例,脊髄損傷は15例で良好例は5例であった。BT(全例術後)は14例で良好例は11例であった。脳腫瘍以外の腫瘍は,男性11例,女性1例の12例で,良好例は5例であった。免疫性神経筋疾患は10例で良好例は6例であった。その他の原因は28例で良好例は11例,不良例は17例であった。独歩群は車イス群,自走不能群よりも有意に予後良好例が多かった。車イス群は自走不能群よりも有意に予後良好例が多かった。</p><p>男女間,各原因間で治療成績に統計上の有意差はなかった。良好例が不良例を上回った原因による嚥下障害は,嚥下障害の治療適応を考える良い対象である。</p>

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