歯根膿瘍の処置中に発症した顔面・頸部皮下気腫,縦隔気腫の1症例

  • 井原 遥
    関西医科大学附属病院耳鼻咽喉科・頭頸部外科
  • 宮本 真
    関西医科大学附属病院耳鼻咽喉科・頭頸部外科
  • 熊澤 博文
    くまざわ耳鼻咽喉科・気管食道科
  • 岩井 大
    関西医科大学附属病院耳鼻咽喉科・頭頸部外科

書誌事項

タイトル別名
  • A Rare Case of Mediastinal Emphysema Occurring during Dental Treatment
  • シコン ノウヨウ ノ ショチ チュウ ニ ハッショウ シタ ガンメン ・ ケイブ ヒカキシュ,ジュウカクキシュ ノ 1 ショウレイ

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説明

<p>日常診療の中で気管切開術後やガス産生菌感染症などで,頸部皮下気腫や縦隔気腫を認めることはある。しかし,その原因の一つに歯科治療があることはほとんど知られていない。今回,われわれは歯科治療後に顔面・頸部皮下気腫および縦隔気腫をきたした症例を経験したので報告する。</p><p>症例は21歳,男性。主訴は右眼瞼および頬部の腫脹。近医歯科にて右上顎小臼歯,歯根部膿瘍の治療後に,右眼瞼および頬部を中心とする顔面腫脹を認め,近医耳鼻科より紹介となった。触診上両側頸胸部に握雪感を認め,頸胸部単純CTにて側頭部から顔面,頸部,縦隔に至る広範囲な気腫を認めた。入院の上,絶飲食として抗菌薬による点滴加療を行い,保存的加療にて軽快した。局所処置に用いた歯科用エアータービン,エアーシリンジによる圧縮空気の軟部組織への送気が原因で,顔面・頸胸部皮下気腫および縦隔気腫が生じたと考えた。歯科治療でエアータービンが使用される機会は多いが,気道狭窄から致死的になる可能性があることを,われわれ医科領域でも念頭におき,今後診療に当たる必要があると考えられた。</p>

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