高齢者のMRSA感染

  • 鷲尾 昌一
    九州大学大学院医学系研究科病態機能内科学
  • 藤島 正敏
    九州大学大学院医学系研究科病態機能内科学

書誌事項

タイトル別名
  • Methicillin-resistant Staphylococcus Aureus Infection in the Elderly
  • コウレイシャ ノ MRSA カンセン

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抄録

メチシリン耐性黄色ぶどう球菌 (MRSA) は代表的な日和見感染の病原菌であるが, 有効かつ安全な抗生剤がほとんどないため, 医学的にも社会的にも大きな問題となっている. 特に多くの易感染者を抱える老人病院や老人ホームではMRSA感染を防ぐことは緊急の課題である. 日常生活動作 (ADL) の障害や低アルブミン血症, 抗生剤の使用 (第三世代のセフェム系抗生物質の使用や多剤の使用) はMRSA感染の関連要因である. ADL障害を持ち, 栄養状態の悪い高齢者を介護する場合, 介護者は交差感染を起こさないように, 十分な交差感染対策をとる必要がある. また, 抗生剤の使用にあたっては最も効果が期待できる抗菌スペクトラムの狭い抗生剤を短期間投与し, 予防的投与などの不要な抗生剤の投与は避けるべきである. 抗生剤の使用に関するガイドラインの策定が望まれる. その一方で, MRSA感染の脅威があまりに強調されるあまり, MRSAの保菌者が, 医療・福祉サービスにおいて不当に差別されている. 医療・福祉関係者がMRSAの保菌者に対する正しい知識を持つための教育が必要である.

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参考文献 (31)*注記

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