総合機能評価(CGA)の臨床応用とその意義

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タイトル別名
  • Clinical Implication of Comprehensive Geriatric Assessment
  • ソウゴウ キノウ ヒョウカ CGA ノ リンショウ オウヨウ ト ソノ イギ

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抄録

総合機能評価 (CGA: Comprehensive Geriatric Assessment) とは, 高齢者医療において患者の生活機能障害を的確に評価し, その軽減と予防に重点を置く老年医学の新たな手法である. それは, 診断治療に加えて, 日常生活動作ADL, 精神心理的スクリーニング (痴呆とうつ状態), 介護, 居住環境などの社会状況を包括的に評価し, これを適切な治療とケアにつなげていくものである.<br>CGAの有用性は, 入院回数の減少, 入院日数の短縮, 施設入所の減少, QOLの向上, 服薬数の減少, ADLの改善, 死亡率の低下などがあるが, すべてのCGAの検討で必ずしもよい結果が得られているわけではない. そこでCGAをその用いられる形態により, (1) 老年総合評価診療ユニット (病棟), (2) 入院患者に対するコンサルテーション, (3) 外来CGA, (4) 在宅訪問CGAに分けて検討を行った. その結果, 老年総合評価診療ユニット (病棟) におけるCGAの有用性はほぼ認められているが, 他の形態では, その有用性についての結果が一致していなかった. これはCGAが単なる評価のみに終始し, 適切なケア計画が実施されなかったり, 対象の選択が適当でなかったり, あるいは追跡期間が短すぎるなどの要因が関係するためである.<br>今後は, 医療・介護施設におけるCGAに加えて, 外来や地域在住の高齢者に対するCGAも必要である. 要介護状態になる前に, 高齢者の生活機能障害の進行を予防し, あるいは早期に対策をたてることが重視されるからである. 高齢者の状態に適した効率的で有効なCGAとそれにつながるケアシステムの構築が今後の課題である.

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参考文献 (40)*注記

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