1.療養型病院における終末期の栄養のあり方
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- 原 健二
- 医療法人健和会奈良東病院
書誌事項
- タイトル別名
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- Practical considerations on nutrition for the elderly at the end-of-life stage
抄録
98年から今日まで継続している「高齢者の終末期医療を考える会」を通して,高齢者の終末期の医療とケアに取り組んでいるが,経口摂取が困難になった時,経鼻栄養や胃瘻造設を選択するかどうかは難しい問題である.<br> 本院では2000年と2009年の2回,気管切開と経管栄養に関する調査を行った.その結果,経管栄養を受けている患者の大多数は寝たきりあるいはそれに準ずる状態であり,過半数はかろうじて反応するレベル以下であった.このことから,経管栄養を受けている患者のADLやQOLは低いことが判明した.医師は経管栄養を開始する際に短期的なメリットだけを説明するのではなく,長期的予後も伝える必要がある.<br> 最近,経管栄養,特に胃瘻の患者が増加しており,その多くが急性期病院からの転院である.このような傾向は,急性期病院の平均在院日数短縮など,国の医療政策とも関連していると推察される.<br> 我々は,高齢者の終末期医療において長期の寝たきりになる可能性があっても,経管栄養を選択するのか,あるいは,誤嚥·窒息の危険性があり衰弱を見守ってゆくことになっても,高齢者の尊厳とQOLを大切にして最後まで経口摂取を続けていくのが良いか,というジレンマに日々直面している.<br>
収録刊行物
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- 日本老年医学会雑誌
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日本老年医学会雑誌 46 (6), 511-513, 2009
一般社団法人 日本老年医学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001205023589376
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- NII論文ID
- 130004485647
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- ISSN
- 03009173
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- Crossref
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可