書誌事項
- タイトル別名
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- A combination of ramelteon and Yi-gan san successfully improved post-surgical delirium in a patient with subarachnoid hemorrhage
- 症例報告 クモ膜下出血の術後せん妄にラメルテオンと抑肝散の併用が奏効したと考えられた1例
- ショウレイ ホウコク クモマク カ シュッケツ ノ ジュツゴ セン モウ ニ ラメルテオン ト ヨクカンサン ノ ヘイヨウ ガ ソウコウ シタ ト カンガエラレタ 1レイ
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抄録
症例は68歳女性.突然の頭痛,嘔吐で発症し,意識レベルが低下し,自宅で倒れ,当院脳神経外科を救急受診.来院時,Japan coma scale(以下JCSと略す)II-30で中等度の左片麻痺がみられた.頭部CTで右側頭葉に4×5 cmの脳出血,3D-CT angiographyおよび脳血管撮影で右中大脳動脈瘤の破裂と左中大脳動脈に2.8 mm大の未破裂動脈瘤がみられた.Hunt & Kosnik分類grade 3のくも膜下出血と評価され,緊急開頭クリッピング術および血腫除去術が施行された.術後2日目にはJCSII-2,改訂長谷川式簡易知能評価スケールは26点で軽度の左空間無視はあるが,左片麻痺は改善し,リハビリテーションで歩行可能になった.術後から不眠があり,トリアゾラム0.25 mg/日を服用していた.術後15日目に未破裂動脈瘤のクリッピング術が施行され,その術後から,「家に帰りたい」と大声で叫び,病棟ですれ違う人に抱きついたり,病院を勝手に抜け出し,迷子になっているところを何度も保護された.Memorial Delirium Assessment Scaleが16点の術後せん妄と考えられた.チアプリド150 mg/日を14日間継続したが効果がなかったので,第40病日から抑肝散7.5 g/日を追加し,トリアゾラムをラメルテオン8 mg/日に変更した.翌日から,大声で叫ばなくなり,服薬7日目には5点に減少し,問題行動もなくなり,入院約2カ月後には1点になり,ごく軽度の左空間無視を残して,自宅退院した.ラメルテオンの睡眠・覚醒リズムの改善作用が,抑肝散のせん妄抑制効果に相加的に作用した可能性が考えられた.高齢者の特に手術後の入院患者では,せん妄の出現頻度は高いが,エビデンスに基づいた治療指針は少ない.ラメルテオン,抑肝散はともに重篤な副作用はなく,過鎮静が危惧される高齢者のせん妄に対して積極的な使用が勧められる.<br>
収録刊行物
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- 日本老年医学会雑誌
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日本老年医学会雑誌 50 (4), 546-549, 2013
一般社団法人 日本老年医学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001205024276992
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- NII論文ID
- 40019789611
- 130004917098
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- NII書誌ID
- AN00199010
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- COI
- 1:STN:280:DC%2BC3sbpt1Clsw%3D%3D
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- NDL書誌ID
- 024850303
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- ISSN
- 03009173
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- PubMed
- 24047672
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- NDL
- Crossref
- PubMed
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可