林業基本法と林政のパラドックス(論説)(特集 林業基本法50年(4))

書誌事項

タイトル別名
  • A Paradox between the Forestry Basic Act and the Forest Policies of National and Local Government (Article) (Special Edition: 50 Years on from the Forestry Basic Act (4))
  • 林業基本法と林政のパラドックス
  • リンギョウ キホンホウ ト リンセイ ノ パラドックス

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抄録

森林の有する公益的機能への要請の高まりとともに、林業の担い手の立場に立った林業基本法は制定当時から矛盾をもっていた。また2001年の森林・林業基本法への改正後も、林政の展開は法の基本理念に沿えるまでに至らなかった。本論は森林の所有形態、木材価格変動の特性、および森林資源の齢級構成のアンバランスなどの要因が林業基本法と林政のパラドックスを招いていることを明確化し、その矛盾を解決するための新しい基本法改正へ向けての論点として、(1)森林を環境財・経済財として区分し、両者は密接不可分なものであると基本理念づけし、林業を二つの財の最大化を図る産業として位置づける、(2)不在村者等への私権の制限など森林の公的管理を強化し、公的管理に相応した森林の対価を所有者へ還元する、(3)森林の多目的利用法を制定し、応益分担制度、森林整備区の設定などの新たな制度を創設する、(4)長伐期林業を指向するよう森林法や森林管理に関する諸制度を改める、(5)森林サービス業を森林・林業の担い手として位置づけ、素材生産サービス業、保健休養サービス業などの担い手を育成することを提起した。

収録刊行物

  • 林業経済

    林業経済 67 (11), 1-8, 2015

    一般財団法人 林業経済研究所

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