地域版人工的水分・栄養補給の導入ガイドラインと支援ツール作成の試み

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タイトル別名
  • Regional version of guidelines for the use of artificial hydration and nutrition with a decision-making support tool for older adults in Northern Iwate Prefecture, Japan
  • チイキバン ジンコウテキ スイブン ・ エイヨウ ホキュウ ノ ドウニュウ ガイドライン ト シエン ツール サクセイ ノ ココロミ

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抄録

日本老年医学会の「高齢者ケアの意思決定プロセスに関するガイドライン 人工的水分・栄養補給の導入を中心として」の発表により高齢者の人工的水分・栄養補給法(AHN;artificial hydration and nutrition,以下AHN)の問題は改善の兆しがあるものの,地方まではまだ浸透していないのが現実である.この問題を解決するために地域版AHN導入ガイドラインとAHN導入支援ツールを作成し使用している.このガイドラインと導入支援ツール作成の過程と使用しての利点と問題点について考察する.<br> ガイドラインと導入支援ツールは多職種からなる地元に密着した組織であるカシオペア地域医療福祉連携研究会で作成した.ガイドラインは「本人と家族の意思」,「全身状態の評価」,「療養する場の選択」の3項目を多職種カンファレンスで項目別に評価し,その結果を総合的に判断して人工的水分・栄養補給の導入(撤退)を決定する.決定の際に患者の残された命を延長することが本人の描く人生の物語りと一致するかを第一に考える.導入しない,あるいは撤退する場合は近親者に対して看取りのケアを行う.<br> AHNの導入の是非を決定する多職種カンファレンスに一般の方が参加することは精神的に負担が大きい.導入支援ツールHONSEは質問形式で質問に答えて考えていくに従って多職種カンファレンスに参加する心構えができるとともに自身のリビングウィルや終末期の医療について考えてもらうきっかけとなるような構成となっている.<br> ガイドラインと導入支援ツールの内容も重要であるが,それ以上に,地域と繋がりの深い組織でこれらを作成し,住民と共有できた活動は地域住民がAHNを考えるきっかけとなり有意義であった.<br>

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