当科で経験したプロテインS欠乏症の3例

  • 南 留美
    九州大学大学院医学系研究科医学部病態制御内科(第三内科)
  • 浦田 美秩代
    九州大学医学部付属病院検査部
  • 栗原 正子
    九州大学医学部付属病院検査部
  • 原 敬一
    九州大学医学部付属病院検査部
  • 安部 康信
    九州大学大学院医学系研究科医学部病態制御内科(第三内科)
  • 名和田 新
    九州大学大学院医学系研究科医学部病態制御内科(第三内科)
  • 牟田 耕一郎
    九州大学大学院医学系研究科医学部病態制御内科(第三内科)

書誌事項

タイトル別名
  • Protein S deficiency in three patients with thrombosis
  • 症例 当科で経験したプロテインS欠乏症の3例
  • ショウレイ トウ カ デ ケイケン シタ プロテイン S ケツボウショウ ノ 3レイ

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抄録

プロテインS (PS)欠乏症は種々の原因で生じ,血栓性素因が主な臨床症状である。われわれは異なった背景を持つ3例のPS欠乏症を経験した。症例1は47歳女性で脳動脈狭窄,下肢深部静脈血栓症,肺梗塞を認めた。長男はPS欠乏症による皮膚潰瘍を発症しており双方に同一部位の遺伝子変異を認めた。症例2は50歳女性,主訴は手指の冷感,親族に脳血管障害が多発していた。PS遺伝子変異は認めなかった。症例3は27歳男性。抗リン脂質抗体陽性であり,血小板減少,皮膚潰瘍,下肢深部静脈血栓症,肺梗塞を認めた。家族に同一症状のある者は認めなかった。PS遺伝子の解析ではSHBG領域に変異を認めた。遺伝子変異は2例とも従来の報告とは異なる部位に認められ,いずれもSHBG領域のミスセンス変異であった。特に症例3は免疫反応に関連するC4BP作用部位の変異であった。これらの知見はPS欠乏症の多様性を理解する上で興味深いと考えられた。

収録刊行物

  • 臨床血液

    臨床血液 42 (8), 610-615, 2001

    一般社団法人 日本血液学会

被引用文献 (1)*注記

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参考文献 (13)*注記

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