脳回状核を有する分類不能成熟T細胞性白血病

書誌事項

タイトル別名
  • Unclassified mature T cell leukemia with cerebriform nuclei
  • 症例 脳回状核を有する分類不能成熟T細胞性白血病
  • ショウレイ ノウ カイジョウカク オ ユウスル ブンルイ フノウ セイジュク Tサイボウセイ ハッケツビョウ

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説明

症例は53歳男性。6年前より健診にて1.0∼1.5×104lの白血球増多を指摘されていたが,無症状のため放置していた。末梢血液像では深くくびれた核を有し,細胞質に顆粒のないN/C比の高い小型リンパ球の増加を認めた。これらの細胞はCD3+, CD4-, CD8-, CD7-, CD16-, CD56-, CD45RO+, CD45RA-であった。TCR遺伝子再構成を認め成熟T細胞性白血病と診断した。形態的にはセザリー細胞に特有な脳回状核を呈していたが,皮疹を認めず,表面マーカー上もCD4-であること,HTLV-1陰性であることよりSézary syndrome (SS), adult T cell leukemia/lymphomaは否定的であった。また,画像所見上リンパ節,肝臓,脾臓の腫大および節外病変も認めず,T細胞性リンパ腫の白血化は否定的であった。T-prolymphocytic leukemia (T-PLL)は経過や形態,表面マーカーに一致しない点が多く,典型的な経過を示すT-PLLの70%に認めるとされるTCL1蛋白の高発現も認めなかったことから否定的と考えられた。過去にSézary cell leukemiaとして報告された症例と形態や表面形質の類似点は多いが,本例のように無症状で長期経過している例は報告されておらず,非常に稀で貴重な症例と思われた。本症例は現行のWHO分類では成熟T細胞性白血病のいずれの病型にも矛盾する所見を呈し,分類不能な症例であった。

収録刊行物

  • 臨床血液

    臨床血液 46 (7), 486-491, 2005

    一般社団法人 日本血液学会

参考文献 (15)*注記

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