骨髄異形成症候群(MDS)における末梢白血球アポトーシス

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タイトル別名
  • Apoptosis of Peripheral Leukocytes in Patients with Myelodysplastic Syndromes
  • コツズイ イケイセイ ショウコウグン MDS ニ オケル マッショウ ハッケッ

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抄録

末梢血を37°C, 5時間フラン器内に静置後作成した塗抹標本を用い,MDS 9例(RA 3例,RARS 2例,RAEB 4例),鉄欠乏性貧血(IDA) 10例,特発性血小板減少性紫斑病(ITP) 10例,正常健康人10例における末梢白血球アポトーシス(アポ)について検討した。アポ細胞の同定は核の断片化など形態学的特徴により,顆粒球並びにリンパ球アポ細胞率は顆粒球,リンパ球を各々300個観察し,算出した。まず,MDS, 正常健康人における経時的観察ではMDSで顆粒球アポ細胞の時間依存性の増加を認めたが,正常健康人における増加は低率であった。5時間目の顆粒球アポ細胞出現率はIDA, ITP, 正常健康人に比較し,MDSで有意に高く(MDS 15.7±8.0%, IDA 2.8±1.2%, ITP 2.3±1.7%, 正常健康人0.7±0.6%, p<0.005),リンパ球アポ細胞出現率は各群に有意差を認めなかった。DNAの断片化を検討したMDSの1例では37°C, 5時間フラン器内に静置後検体でDNA断片化を認めた。また,MDSでは末梢顆粒球率と顆粒球アポ細胞率との間に負の相関傾向が認められた。これら成績はMDS末梢顆粒球は易アポ状態にあり,MDS末梢顆粒球減少に末梢血における顆粒球の早期細胞死の関与を示すものと考えられた。

収録刊行物

  • 臨床血液

    臨床血液 39 (11), 1079-1084, 1998

    一般社団法人 日本血液学会

参考文献 (17)*注記

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