骨髄腫骨病変の管理:ゾレドロン酸かデノスマブか

  • 安倍 正博
    徳島大学大学院医歯薬学研究部 血液・内分泌代謝内科学
  • 三木 浩和
    徳島大学病院 輸血細胞治療部
  • 中村 信元
    徳島大学大学院医歯薬学研究部 血液・内分泌代謝内科学

書誌事項

タイトル別名
  • Management of bone disease in myeloma patients: zoledronic acid or denosumab?
  • コツズイシュコツ ビョウヘン ノ カンリ : ゾレドロンサン カ デノスマブ カ

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抄録

新規薬が臨床応用され骨髄腫の治療成績が向上しているが,骨破壊病変は依然として生活の質(QoL)の低下の最も多い原因である。初回化学療法を受ける症候性骨髄腫患者すべてに骨病変の有無にかかわらずゾレドロン酸の点滴静注を反復することが骨病変の進行防止と予後の改善の点から推奨されている。デノスマブはゾレドロン酸と同等の治療効果を発揮する。デノスマブは即効性で皮下投与という利便性があり,腎機能にも影響を与えにくいが,低カルシウム血症を来しやすく,ゾレドロン酸と同程度に顎骨壊死の発生がみられる。ゾレドロン酸は骨に長期間蓄積するが,デノスマブは骨への蓄積性がない。したがって,長期投与後の骨質への影響などに両者の違いがある可能性がある。また,治療奏効後の強力な骨吸収抑制薬継続投与の有用性および新規薬との併用下での骨病変治療薬の至適な投与開始時期,投与方法や投与期間,予後に及ぼす影響が今後の検討課題である。

収録刊行物

  • 臨床血液

    臨床血液 56 (8), 997-1004, 2015

    一般社団法人 日本血液学会

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