移植前治療の改良

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タイトル別名
  • Progresses in pretransplant conditioning strategies
  • イショク ゼン チリョウ ノ カイリョウ

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抄録

<p>1990年代後半からの移植前治療強度減弱の試みは,移植対象患者数を飛躍的に増加させたが,再発率の増加を招いた。2000年代に入り,毒性を増やさずに治療強度を増強させる方向に舵が切られた。骨髄系腫瘍に対しては,静注ブスルファン(ivBu)の登場で毒性が軽減され,高齢者を含む多くの症例で骨髄破壊的移植前治療(MAC)が可能となった。50歳以上では古典的なシクロホスファミド(Cy)+ivBuや全身放射線照射+Cyよりもフルダラビン(Flu)+ivBuが同等もしくは優位であることも示されている。寛解例に対するivBuを用いたMACでは,100日以内の治療関連死亡率がシアトル方式のFlu+TBI 2 Gyと同等にまで下げられており,現在使用可能な薬剤の組み合わせによる移植前治療毒性は十分軽減されてきたと言える。毒性発現高リスク群の層別化や,開発盛んな新規抗腫瘍薬の導入等で更なる毒性軽減が期待される。</p>

収録刊行物

  • 臨床血液

    臨床血液 58 (12), 2425-2431, 2017

    一般社団法人 日本血液学会

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