ヘム合成のバイオロジーの最前線

  • 藤原 亨
    東北大学大学院医学系研究科 血液免疫病学分野 東北大学大学院医学系研究科 血液分子治療学寄附講座
  • 張替 秀郎
    東北大学大学院医学系研究科 血液免疫病学分野 東北大学大学院医学系研究科 血液分子治療学寄附講座

書誌事項

タイトル別名
  • Update on the biology of heme synthesis in erythroid cells
  • ヘム ゴウセイ ノ バイオロジー ノ サイゼンセン

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抄録

ヘムは全ての細胞で必須の分子であるが,その主な産生細胞は赤芽球と肝細胞である。ヘム生合成の障害があると,組織への酸素輸送,ミトコンドリアでの酸化的リン酸化,薬物代謝等に重大な障害を生じ,その結果,ポルフィリン症と総称される一群の疾患を生じる。本疾患は,肝細胞におけるヘム生合成の障害を認める肝性ポルフィリン症と,赤芽球でヘム合成の障害を生じる造血性ポルフィリン症に大別される。一方,赤芽球におけるヘム生合成の初発酵素であるALAS2遺伝子変異の結果,環状鉄芽球の出現を特徴とする鉄芽球性貧血も生じうる。本稿においては,赤芽球におけるヘム生合成に関して最近の知見を中心に紹介し,ついでヘム合成系とその異常により発症する疾患のうち,血液学的に重要な鉄芽球性貧血と造血性ポルフィリン症について概説する。

収録刊行物

  • 臨床血液

    臨床血液 56 (2), 119-127, 2015

    一般社団法人 日本血液学会

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