三日熱マラリアにおけるプリマキン標準療法後の再発例の検討

書誌事項

タイトル別名
  • A Study of Relapsed Cases of Vivax Malaria after the Standard Primaquine Therapy
  • ミッカ ネツ マラリア ニ オケル プリマキン ヒョウジュン リョウホウゴ ノ

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説明

我が国の輸入マラリアの種別を見ると, 年度により若干の変動が見られるとはいえ, 三日熱マラリアが全症例の約6割を占め最も多い.この場合, クロロキンなどによる急性期発熱抑止療法に加えて, 肝細胞内発育環のヒプノゾイトをプリマキンで殺滅し, その後の再発防止を図る根治療法を行うが, 海外ではこのプリマキン療法を行っても時に再発が見られることが問題になっている.また, 我が国においても, 根治療法が実施されなかった例が含まれるとはいえ, 三日熱マラリアの治療後の再発率が高いことが早くから指摘されている.そこで, 今回我々は主に厚生科学研究費「熱帯病治療薬の開発研究班」でのアンケート調査をもとに, 国内症例での検討を行った.その結果, 解析可能な症例が20例以上ある国についてみると, プリマキンによる治療後の再発率が最も高率であったのはパプアニューギニアでの感染例であり, 次いでインドネシア, タイであったが, インドでの感染例ではこれらに比して低率であった.<BR>筆者らが扱ったプリマキン標準療法後の再発例のいくつかについては, 特にその後の治療について詳細に検討した.1) 30mg塩基/日・7日間法, 2) 標準療法を1カ月間隔で2クール行う方法, 3) 15mg塩基/日・21日間法などを行い, 1) での1例を除いて有効であり, いずれも副作用を認めなかったため, 今後も試みる価値がある治療法と考えられた.<BR>我が国においても, 三日熱マラリアに対するプリマキン低感受性地域の把握をより詳細に行う必要があり, それらに対しては, 従来の標準療法に代わる適切な治療法を確立する必要があると思われた.

収録刊行物

  • 感染症学雑誌

    感染症学雑誌 70 (10), 1086-1091, 1996

    一般社団法人 日本感染症学会

被引用文献 (3)*注記

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参考文献 (21)*注記

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