深在性真菌症の臨床的, 病理学的検討

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タイトル別名
  • Clinical and Pathological Analysis of Deep Mycoses
  • シンザイセイ シンキンショウ ノ リンショウテキ ビョウリガクテキ ケントウ

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説明

順天堂大学において剖検された深在性真菌症例を, 臨床的・病理学的に検討した.<BR>対象はl964年から1987年までの24年間に剖検され, 深在性真菌症と診断された127症例であつた. 検討の結果, 以下の結論が得られた. 1) 真菌症の発生は年々増加傾向にあり, 特にカンジダ症, アスペルギルス症において顕著であつた. 2) 基礎疾患としては, 血液疾患, 固型癌, 炎症性疾患, 膠原病の順であり, 中でも各種白血病が多かつた. 3) 胃・腸管癌にはカンジダ症が, 膠原病にはアスペルギルス症が多かつた. 4) 真菌症の臓器分布として, アスペルギルス症は肺, カンジダ症は肺, 腎, 胃・腸管の順であり, クリプトコックス症は肺, 中枢神経系の順であつた. 5) 易感染性の指標として, リンパ球数の低下時に真菌感染が生じやすい可能性が考えられた. 6) 入院時の発熱はアスペルギルス症に多くみられ, カテーテル留置はカンジダ症に多かつた. 7) 真菌血症はカンジダ症に多くみられ, アスペルギルス症では極めて少なかつた. 8) ステロイドホルモン量, 赤血球輸血による鉄過剰状態は, 真菌感染の発生要因として, 関連性があることが疑われた.

収録刊行物

  • 感染症学雑誌

    感染症学雑誌 65 (2), 200-208, 1991

    一般社団法人 日本感染症学会

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