PCR法を用いた喀痰中の結核菌群および<I>Mycobacterium</I>属菌の迅速検出

  • 楠 伸治
    塩野義製薬株式会社臨床検査部シオノギバイオメディカルラボラトリーズ
  • 村田 豊
    塩野義製薬株式会社臨床検査部シオノギバイオメディカルラボラトリーズ
  • 南出 和喜夫
    塩野義製薬株式会社臨床検査部シオノギバイオメディカルラボラトリーズ
  • 内田 清久
    塩野義製薬株式会社臨床検査部シオノギバイオメディカルラボラトリーズ
  • 三浦 宏明
    岐阜大学医学部微生物学講座
  • 江崎 孝行
    岐阜大学医学部微生物学講座

書誌事項

タイトル別名
  • Rapid and Direct Detection of Myocbacterium tuberculosis Complex and Mycobacteria in Sputum by Advanced Method, PCR
  • PCR法を用いた喀痰中の結核菌群およびMycobacterium属菌の迅速検出
  • PCRホウ オ モチイタ カクタンチュウ ノ ケッカクキングン オヨビ Myc

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説明

MPB70蛋白遺伝子と16SrRNA遺伝子を検出目標としたPCRを用いて喀痰中の結核菌およびMycobacterium属菌をそれぞれ検出する方法を開発した.Mycobacterium属菌27菌種とmycobacteria以外の30属57菌種を被検菌とした試験で16SrRNA遺伝子の増幅はMyobacterium属菌に特異的であり, MPB70遺伝子の増幅はM.tuberculosis, M.bovis, M.africanum, M.microtiの結核菌群に特異的であった.両試験の結果を組み合わせることにより, 結核菌群と非結核性抗酸菌を鑑別することができた.<BR>抗酸菌症が疑われた喀痰311検体を用いて従来法との比較を行った結果, 塗抹または培養試験で陽性の17例中, PCR法では結核菌群12例および非結核菌性抗酸菌4例が検出された.1例については本PCR法では検出できなかった.従来法で陰性であった294例中, PCR法で結核菌群13例, 非結核性抗酸菌8例が検出された.これらの結果については, 結核菌群特異DNAプローブによる検出結果および患者の臨床的背景の調査結果とも矛盾しなかった.残る273例は従来法, PCR法ともに陰性であった。なお対照として用いた一般細菌検査用喀痰197検体からは本PCR法で結核菌群は検出されなかった.<BR>以上の結果, 本PCR法は従来法に較べ迅速であり, 喀痰中の結核菌およびMycobacterium属菌をそれぞれ直接, 高感度に検出できることがわかった.今後の抗酸菌症の早期診断に有用性が高いと考えられる.

収録刊行物

  • 感染症学雑誌

    感染症学雑誌 66 (12), 1682-1691, 1992

    一般社団法人 日本感染症学会

被引用文献 (7)*注記

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