腎移植患者のPCR法によるサイトメガロウイルスの検出と臨床経過の対比

書誌事項

タイトル別名
  • Correlation of PCR Results to Detect HCMV with Clinical Course of Kidney Transplant Recipients
  • ジン イショク カンジャ ノ PCRホウ ニ ヨル サイトメガロ ウイルス ノ

この論文をさがす

抄録

腎移植患者より経時的に採取した末梢血白血球と尿を用いて, polymerase chain reaction (PCR), shellvial法, 及びウイルス分離によりhuman cytomegalovirus (HCMV) の検出を試みたところ, 18例中11例から検出された. 今回用いたPCR法はshell vial法に比較して, より長期間HCMVを検出することができ検出感度が高いと思われた. しかしHCMVの検出された11例中3例のみ, HCMV感染症状が認められ, 他は無症状に経過した. 発症した症例は, PCR法でのHCMV検出が頻回であった. 更に, 末梢血白血球から抽出したDNAをテンプレートとし, PCRの反復回数を変更する検討を行った. その結果, major immediate early (MIE) 領域を増幅するプライマーを用いたとき, 発症した3例全例の急性期と3例中2例の2日前, および1日前の検体からは, PCRの反復回数を減少させ検出感度を下げてもHCMVを検出し得た. 一方, 発症前, ganciclovir治療後, 及び非発症例検体は, 少ない反復回数ではHCMVは検出されなかった. PCRの1反応系に用いる検体量を一定にすることにより, このように簡易な, PCRの反復回数の変更によりHCMVの検出された患者の中で発症例と非発症例を区別できる可能性が示唆された.

収録刊行物

  • 感染症学雑誌

    感染症学雑誌 69 (1), 98-104, 1995

    一般社団法人 日本感染症学会

参考文献 (16)*注記

もっと見る

キーワード

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ