尿路感染症の尿中における病原細菌の生態

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タイトル別名
  • Ecology of Pathogenic Bacteria in the Infected Urine
  • ニョウロ カンセンショウ ノ ニョウチュウ ニ オケル ビョウゲン サイキン

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抄録

尿路病原菌が尿中で示す性状と分離したその菌が試験管内で示す性状とを比較検討した. 形態学的に見ると, 感染尿から直接回収した大腸菌は殆どが線毛を持たなかったがその菌を分離培養すると全ての菌が線毛を発現した. 尿中では英膜を持つ菌がしばしば見られたが, その菌を培養すると英膜は失われた. 溶血性大腸菌について見ると, 感染尿および尿中の菌から溶血素は検出されなかったが, 分離後の菌および培養上清からは溶血素が検出された. 菌体構成蛋白については外膜蛋白に著しい変化が見られた. 最も特徴的な変化は尿中の菌で見られた分子量約70kDaの蛋白が培養菌では消失していることであった. 濾過滅菌した健康人尿およびハートインフユージョンプロス (HIB) を培地として薬剤感受性を調べ, HIBにおける薬剤の最小発育阻止濃度 (MIC) を1とした時, 尿中におけるMICはオフロキサシン=25, アンピシリン=1, エリスロマイシン=3であった.

収録刊行物

  • 感染症学雑誌

    感染症学雑誌 70 (7), 681-689, 1996

    一般社団法人 日本感染症学会

参考文献 (20)*注記

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