ヒスタミンH<SUB>2</SUB>受容体拮抗剤投与症例における胃吸引液の細菌叢について

書誌事項

タイトル別名
  • Gastric Microflora in Patients Receiving H<SUB>2</SUB>-Blocker
  • ヒスタミンH2受容体拮抗剤投与症例における胃吸引液の細菌叢について
  • ヒスタミン H2 ジュヨウタイ キッコウザイ トウヨ ショウレイ ニ オケル
  • Gastric Microflora in Patients Receiving H2-Blocker

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説明

ヒスタミンH2受容体拮抗剤 (H2プロッカー) を投与された21例の胃吸引液を細菌学的に検索した.同時にH2プロッカーを投与されていない7例についても同様に検討した.H2プロッカー投与症例の胃吸引液のpHは1.91~6.51に分布し, 平均値は4.32でpH5以上の症例は10例見られた.好気性菌は20例 (95%) から検出され, 検出菌数は胃吸引液のpHと正の相関関係を示した.嫌気性菌は7例 (33%) において培養陽性であったが, 好気性菌で認められた菌数と胃吸引液pHとの相関関係は見られなかった.菌群別にはCandida (82%) とStaphylococcus (41%) の検出率が高く, 嫌気性菌ではFusobaoteriumが33%の陽性率で, Bacteroides fragilisgroupはまったく検出されなかった.対照症例においても胃吸引液のpHが高い症例では好気性菌や嫌気性菌が陽性であった.以上の成績より, H2プロッカーの投与は胃内容液のpHを上昇させる結果, 好気性菌のみならず嚥下情肺炎と関連しうる嫌気性菌の増殖も招来し, 胃内フローラを異常に形成することが明らかとなった.

収録刊行物

  • 感染症学雑誌

    感染症学雑誌 63 (7), 726-731, 1989

    一般社団法人 日本感染症学会

被引用文献 (4)*注記

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