単糖類イノシトールの誘導体のHIV増殖抑制効果

書誌事項

タイトル別名
  • Inhibitory Effect of Inositol Hexasulfate and Inositol Hexaphosphoric Acid (Phytic acid) on the Proliferation of the Human Immunodeficiency Virus (HIV) in vitro
  • タントウルイ イノシトール ノ ユウドウタイ ノ HIV ゾウショク ヨクセイ

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説明

単糖類イノシトールの硫酸化体であるイノシトール六硫酸 (IHS), および燐酸化体であるイノシトール六燐酸 (フィチン酸, IHP) の抗ヒト免疫不全ウイルス (HIV) 作用について, invitroの実験系で調べた. その結果, イノシトール六硫酸は1.67mg/ml以上の濃度で, HIV感染によるMT-4細胞の傷害を完全に抑制し, 830μg/ml以上でHIV特異抗原の発現を抑制した. また40μg/ml以上の=濃度で, AIDS患者から分離したHIVを感染させた健常人末梢血単核球 (PBMC) におけるHIV特異抗原の発現を抑制した. しかしイノシトール六硫酸は, HIVの感染したMolt-4細胞と非感染のMolt-4細胞を混合した場合に認められる巨細胞形成を阻止せず, HIVの逆転写酵素 (RT) の活性も阻止しなかった. 一方イノシトール六燐酸は250μg/~1.5mg/mlの濃度でHIV感染によるMT-4細胞の障害とHIV特異抗原の発現を軽度に抑制し, 1.25mg/mlでPBMCでのHIV抗原の発現を抑制したが, その他のテストでは抗HIV作用は示さなかった.

収録刊行物

  • 感染症学雑誌

    感染症学雑誌 63 (7), 676-683, 1989

    一般社団法人 日本感染症学会

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