水痘予防接種に対する公費補助制度の政策評価

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タイトル別名
  • Varricela Vaccination Policy Subsidy Evaluation
  • スイトウ ヨボウ セッシュ ニ タイスル コウヒ ホジョ セイド ノ セイサク ヒョウカ

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説明

【目的】香川県三豊市・観音寺市では,2007 年4 月1 日より水痘予防接種に対する公費補助制度が導入さ れた.その制度の効果を実証し,定着させるために,三豊観音寺医師会,ならびに三豊市・観音寺市と協力の下,公費補助制度導入前後の水痘罹患状況及び水痘ワクチン接種状況の比較,ワクチン接種による水痘罹患時の軽症化の程度と家族看護負担の比較を行った. 【方法】公費補助制度の補助対象者は,市内に住民票があり,1 歳から5 歳(2002 年4 月1 日生まれまで)で水痘未罹患の者とした.健診時調査,医師記入の調査,家族記入の調査,及び公費補助請求書から調査を行った.解析は2007 年5 月1 日から2008 年3 月31 日までの11 カ月間とした. 【結果】家族記入の調査票の回収は医師記入調査票の6 割程度であった.2007 年12 月に大きな流行があった.健康診断時調査では,3 歳半健診時点でのワクチン有効率は74%であったものの就学前では63%まで低下した.罹患期間は,予防接種の有無にかかわらず最頻値は5 日であった.公費補助によって,1 歳児の接種率が三豊市では8.0%から17.2%,観音寺市では13.0%から28.9%上がった.しかしながらそれでもなお5 歳までの平均接種率は三豊市では17.2%,観音寺市では28.9%であった. 【考察】水痘ワクチンの接種率は改善したが,なお全国平均を下回っていた.また,ワクチンの有効性は低いことが確かめられた.公費補助によって両市平均で総費用では686.7 万円,医療費のみでは45.5 万円節約された.

収録刊行物

  • 感染症学雑誌

    感染症学雑誌 84 (2), 159-164, 2010

    一般社団法人 日本感染症学会

被引用文献 (2)*注記

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参考文献 (12)*注記

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